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傘が嫌われる理由
BLUNTアンブレラのデザイナー、グレイグ・ブレブナ-。
彼が傘とまだ無縁であった1999年のある日、デザインエンジニアとして働く彼は、いつものように自宅の玄関口を出て、
背丈1.9メートルのグレイグは、行く手の先に見えるほとんどの人々を見渡すように歩いていたが、
雨足が激しくなってきたその時、突然数百もの鋭利な矛先が彼の目を脅かし始めたのに気が付いた
お猪口のように裏返ってしまった傘の先で彼の目を突かないようにと、反り返った傘と格闘している傘の持ち主の姿であった。
-それはあたり一面に広げられた傘の先端であった。彼の目に映った次の光景は、少しの突風で
ぽつぽつと降り出した雨空を見上げながら、ロンドンの街の雑踏の中へと歩き出した。
そしてこの光景が、のちに彼を傘と結びつける運命的なものとなる。
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傘の歴史が変わる
グレイグが、工作用のグルーガンと凧の材料を片手にキッチンテーブルで作業に乗り出した瞬間、1928年以
来ほとんど変わらずにきた傘のデザインに、初めて変革が起こることとなった。
それまで傘は、いろいろな色のバリエーションもあり、時には小さなプッシュボタンやライトがついているものや、
裏返りを防ぐための風の抜け穴を天蓋部分にあけてあるもの(結局水が入ってくるのだが)までもが登場した。
そして、どれもあまりうまくは機能しなかった。
結局は、一吹きの風によってもろくも壊れてしまい、数ヶ月後には、ゴミ捨て場でその寿命を終えていた。
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ありきたりの傘からBLUNTアンブレラへ
グレイグは、従来の傘そのものの設計を根本的に最初からやり直す作業にとりかかった。
グレイグの中の“エンジニア魂”は、優れた耐風能力をもち、現存するあらゆるものを凌ぐ傘を生み出すことに向かって
走り出し、同時にグレイグの中の“デザイナー魂”は、そのデザインを完全に美しくスタイリッシュに
仕上げることに向かって走り出していった。
1人の長身の男としてのグレイグは、単純にそのいまいましい鋭利な矛先が彼の顔をもはや攻撃してこないことを願った。
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FORM FOLLOWS FUNCTION:
THAT HAS BEEN MISUNDERSTOOD.
FORM AND FUNCTION SHOULD BE ONE,
JOINED IN A SPIRITUAL UNION.
FRANK LLOYD WRIGHT
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BLUNT 誕生
故郷ニュージーランドへ戻ったグレイグは、一刻も早く自分の考えを確かめたく、荒れ狂う嵐の中、
試作品を抱えオークランドにあるワンツリーヒルへと向かった。
試作品第1号BLUNTが、嵐の中で折れることなく持ちこたえた姿を見たグレイグは、自分の方向性が間違っていなかった
ことを確信した。また、耐風実験において、その最高風速117km/hを超える風に耐えたBLUNTを目にした瞬間、
押さえきれない興奮が沸き起こるのを感じた。
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使い捨て傘から必要不可欠な傘へ
BLUNTの目指したものは、傘そのものを再定義するだけでなく、傘業界全体の見直しである。
毎年、何百万本もの傘が壊れ、捨てられている。修理されたり、リサイクルされているのはほんの一握りの傘だけで、
大多数の傘はゴミ処理場に埋められるゴミを増やす形で寿命を終える。
これは、傘を買う人にとっての時間とお金の無駄遣いであるばかりでなく、もともと本来の役目を果たすに足らない製品を
BLUNTは、最も過酷な天候条件にも耐えうるよう、また何年も長い間使ってもらえるよう、デザインされた傘である。
作るために費やされたすべての時間や資源の無駄遣いでもある。